事例紹介

Esdscha Trailer Systems

Esdscha Trailer Systemsの場合

製品アーキテクチャの力
製品アーキテクチャの整理による事業改善

Edscha Trailer Systemsのチームは、製品のバリエーション数を増加させながら、更に部品の種類数を削減するため、スライディングルーフの構造を見直すことにしました。彼らは、ヒンジ、ローラー、レールを構成するモジュールとインターフェースを最適化しました。

では、結果はどうだったのでしょうか。

従来、108もの部品種類数があったところを、32のモジュールバリアント(部品種類数)に削減し、それらを繋げるインターフェースも標準化されました。

モジュラー化の実現は、私たちの戦略の中でとても重要なものです。モジュラーマネジメント社が提供する能力とノウハウは、研究開発と製造の分野で大きな変更を行う際に、素晴らしいサポートを行ってくれました。

Anders Birgersson
Edscha Trailer Systems

会社概要

VBG(現在はEdscha Trailer Systemsの一部)は、交通安全の発展に人並外れた情熱を注いだエンジニアのHerman Kreftingによって1951年に設立されました。彼は、大型トラックへのトレーラーの取り付けを大幅に改善する新しいトラックカップリングを設計し、特許を取得しました。カップリング製造ビジネスは、1950年代に急速に成長し、新たな製品を生み出し、ヨーロッパ全土に営業所を設けるに至りました。

現在、VBG Groupは、大型車両業界向けにさまざまなコンポーネントの開発と製造を行っています。 年間売り上げは3億7500万ドルに上り、4つの部門から構成されています。EM車両メーカーまたはトラック専門のボディビルダーに卸し、アフターサービス用には、専門の小売店舗も持っています。

VBGトラック機器部門は、トラックや大型トレーラー用のカップリング機器のリーディングサプライヤです。VBGとRingfederブランドのカップリング装置の市場シェアは50%以上に達しています。顧客は、トラックやトレーラーのメーカーや、メーカーから購入したシャシーから特殊車両を組み立てるアフターマーケットのボディビルダーです。

Edscha Trailer Systems部門は、トラックおよびトレーラー用の可動式エンクロージャーの大手サプライヤです。Edscha Trailer SystemsおよびSesamブランドのスライディングルーフの市場シェアは50%弱です。 顧客には、ヨーロッパのトレーラーメーカー、Krone、Wielton,、Tirsan、 Kässbohrer、Fruehauf und Bergerに加え、トラックボディービルダーやアフターマーケット用の小売業者が含まれます。

Ringfeder Power Transmission部門は、建設、機械、電力、鉱業など、幅広い業界に向けた、機械式動力伝達、エネルギーおよび衝撃吸収装置における世界的なマーケットリーダーです。

Mobile Climate Control部門は、バス、オフロード、ユーティリティ、防衛車両向けの温度制御システムの市場で活躍しています。 この部門は、小型から中型サイズのシリーズでカスタマイズに力を入れており、 暖房、換気、空調、制御、及びそれらに幅広いコンポーネントを含むソリューションを提供しています。

 

事業内容

1980年代までは、トレーラー用カップリングのコア製品を一つのブランド名のもと改良し、提供することに重きを置いていましたが、その後オリジナルのカップリングに加え、高品質なセミトレーラー用の5輪アタッチメントや自動車用の牽引棒などを開発していきました。その結果、売り上げは年々順調に伸び、北欧では新たな営業所や先進的な製造設備を導入して事業を拡大していきました。

1990年代に、VBGは事業ポートフォリオに製品やブランドを追加するために他の小規模な企業を買収し始めました。 彼らは補完的な製品と新製品を増やして新たな市場を狙いました。 補完的な製品は既存の製品と適合するため、ビジネス全体の相乗効果と最終的なコスト削減に貢献しました。

成長と買収により、VBGは受注量の変動が大きく、比較的小さな市場に、多種多様な製品を提供する状況になっていました。 多種多様な製品の品揃えによりコストとリードタイムは増加していきましたが、単価は中々上げられませんでした。 牽引棒カップリングの製造は、顧客の状況に大きく依存していました。

受注の変動をカバーするために、リソースプランの見直しや、時間外作業、臨時要員の雇用や大量の在庫を持たざるを得ませんでした。VBGは、顧客が要求する製品機能を提供することで競合他社に追いつくのに苦労していました。

1993年に、VBGはモジュラーマネジメント社との契約を開始しました。 トラックカプラーの最初のモジュラー化プロジェクトが完了しました。固有部品点数と製品数を42%削減でき、総コストも削減できました。 一連のモジュラー化プロジェクトにより、純利益も改善されました。 リードタイムも大幅に短縮され、北欧の顧客へは製品を24時間以内に提供できるようになりました。

1997年に、VBGはトレーラーカップリングの競争相手であるRingfederを買収し、動力伝達用の機械要素も提供しました。 以前開発したモジュラー製品アーキテクチャを活用することにより、VBGはRingfederカプラーをVBG製品ファミリーにすばやく統合しました。単一の製品プラットフォームに統合することで、効率化が図られました。

 

Edscha Trailer Systems

2005年、同社はトラックおよびトレーラー向けのEdscha Trailer SystemsおよびSesamスライディングルーフシステムを買収し、製品の多様化を進めました。 同社は、トラックおよびトレーラー用のスライディングルーフシステムの創始者です。同製品は、トラック上部または側面からの貨物の積み込みを容易にできるといった製品の特長を持っています。 Sesamには、低価格帯で性能の劣る、同じタイプの製品が含まれていました。

2009年、リーマンショックによる世界経済の冷え込みによってトラック市場の全体的な需要は減少しました。Edscha Trailer SystemsとSesamは、OEMがトラックやトレーラーの在庫を移動することが出来なかったことにより、VBG事業ポートフォリオの中で最も大きな打撃を受けました。その結果、スライディングルーフシステムの設置台数が大幅に減少しました。需要の減少により、生産量に依存する製造コストは増加しました。最近のVBGの買収以来、スライディングルーフシステムのモジュラー製品アーキテクチャの効果をまだ実感できていませんでした。一方、モジュラープラットフォームの実装で過去成功していたという経験から、このモジュラー化のアプローチは、この部門が抱えるコストの課題のためのソリューションであると信じていました。

ここからは、Edscha Trailer Systemsのモジュラー化への道のりを紹介します。

Typical Trailer Sliding Roof System offered by Edscha

製品のマーケティングと管理 

Edscha Trailer Systemsの場合、自社のトレーラーシステム製品を競合他社製品と差別化することが年々難しくなってきました。市場が保守的で、イノベーションのためには顧客価値を大きく変革しなければならず、その変革に顧客が対応するには長い時間を要しました。

Edscha Trailer Systemsのマーケティングチームは、モデル年度ごと独自の製品を発表しました。彼らは、標準製品に載せる機能やオプションを定める一方、要望に応じて個別で機能を開発をしていました。チームはまた、Edscha Trailer SystemsとSesamという2つのブランドを取り扱っているため、必然的に性能が重複する製品を提供していました。

 

製品設計とエンジニアリング 

スライディングルーフは成熟した製品ラインであるということもあり、これまで何年にもわたって製品にはわずかな変化しかありませんでした。また、エンジニアリングチームは小規模だったため、大規模な製品開発プロジェクトは経験したことがありませんでした。年に一度の製品変更で必要とされたのは、小さな設計変更だけで、チームはその年の残りの時間を顧客からの要望に応えるために費やしていました。また、品質問題の解決にも多くの時間を費やしていました。

 

製造オペレーション 

チェコ共和国のEdscha Trailer Systems工場では、スライディングルーフのコンポーネントを購入した製品の一部を切り取り、リベットで留め、組み立てます。

その他のコンポーネントは、OEMまたは小売業者に直接配送され、車両で組み立てられていました。ほとんどのコンポーネントは、140社のサプライヤから同社専用に調達されています。2011年には、約3万から3万5千枚のスライディングルーフシステムを生産しました。

モジュラー化の実現は、私たちの戦略の中でとても重要なものです。モジュラーマネジメント社が提供する能力とノウハウは、研究開発と製造の分野で大きな変更を行う際に、素晴らしいサポートを行ってくれました。 

Anders Birgersson
Edscha Trailer Systems (formerly VBG)

モジュラーアーキテクチャのゴール

Per Ericson氏は、スライディングルーフシステムのモジュール製品アーキテクチャ構築を通して、全体的なコストを大幅に削減し、不況に強いビジネスにしようと努めました。

Per氏は、EdschaとSesamブランドの製品を同じ製品プラットフォームに統合することを検討していました。彼は、1997年にVBGがVBGとRingfederのトレーラーカプラーで同様の事を実施し、多くの利益を実現したことに自信を持っていました。

私たちは成熟した市場で活動しており、国内および海外のプレーヤーとの厳しい競争にさらされています。モジュラーコンセプトを採用することで、当社の完成度を高め、より効率的に利益を上げることができます。モジュラーマネジメントは、多品種、多固有部品点数な体質を、モジュラー化により小固有部品点数で賄える体質への変革プロセスをサポート、指導してくれました。このプロセスを自分たちだけで進めることはできなかったでしょう。モジュラーマネジメント社のサポートと指導のお陰で、プロジェクトを成功させることができました。

Per Ericsson
Formerly Edscha Trailer Systems, retired 2017

ヒマラヤプロジェクトは2011年1月に開始され、投資は製品発売後4〜5年以内に回収される見込みでした。同社はまず、基盤(ベース)となる製品アーキテクチャを開発します。その後、リスクを最小化するため、小規模なプロジェクトに製品アーキテクチャを実装します。これにより、市場投入までの期間を短縮できます。プロジェクトのKPIには、次のものが含まれています。

  • コンフィグレーション性を向上させ、顧客のさまざまな要求に対応する
  • 誰もが認める市場リーダーになることにより、競合他社との差をつける
  • ビジネススピードを高め、製品化まで、納品までの時間を短縮する
  • 固有のコンポーネントの数を減らす

売上の増加

Edscha Trailer Systemsは、成長を続ける新規の競合他社に負けることなく、市場シェアを維持することを目指していました。そのためには、付加価値が高く、魅力的な製品群を顧客に提供し、平均リードタイムを大幅に短縮することが必要でした。

 

収益性の改善

市場の低迷は同社にとって厳しいものでした。彼らは、将来にわたってコスト競争力を維持するために、製品コストを大幅に見直す必要がありました。包括的な目標は、固有部品点数を70%削減することでした。これらは、サプライチェーンシステム内で設計および管理する必要がある部品です。部品数を削減することでサプライヤの数を70%削減でき、在庫コストを45%削減できる、そして同様に直接材料費も削減することができると推測していました。

業績

2013年末までに、Edscha Trailer Systems社は、トレーラースライディングルーフシステムのモジュラー化への取り組みの効果をすでに実感していました。製品はまだ正式には発売されていませんでしたが、これまでに行ってきた決断と効率改善の効果を実感してきました。下位互換性により、新しいコンポーネントが古いシステムでも動作するようになりました。

 

Edscha Trailer Systems – 市場の低迷が続く中で収益性を向上 当部門では2013年に向けて、トレーラー事業は好調に推移し、下半期には需要が増加するものと予想していました。しかしながら、その年の市場は年末に向けて改善が見られたものの、全体を通して低迷を続けました。市場が低迷しているため、当部門の売上高の増加率は1%にとどまったにもかかわらず、Edscha Trailer Systemsは収益性改善効果により、営業利益率は9%にまで上昇しました。コスト削減とより効率的なプロセスがこれに貢献し、当部門は2014年に新開発のスライディングルーフの新世代を市場に投入することで、収益性がさらに改善されると予想しています。しかし、主に市場状況の改善による売上高の増加が予想されるため、Edscha Trailer Systemsも期待している成長を遂げることが可能になるでしょう。ヨーロッパ内でのトレーラー在庫の交換需要が今後2,3年の市場を牽引するでしょう。 私は、Edscha Trailer Systemsの新製品や、その市場での強力なポジションが、2014年に確固たる土壌ができる事、つまり、持続的に収益改善をし続ける土壌ができる事を期待しています。

Anders Birgersson talks about the financial impact in the 2013 Annual Report

従来より少数のサプライヤと交渉することにより、コスト削減が見込めていました。また、全体的なコスト削減は15%と目され、これは、チームとモジュラーマネジメントで出した最初の見積もりに非常に近いものでした。これらの成功を受けて、Edscha Trailer System部門では、もう一つのモジュラー製品の開発に取り掛かることが出来ました。

 

製品マーケティングと管理

新製品群の市場投入は、各顧客と調整し、1年以内に実施する必要があります。

主要顧客に加えて、20社のトラック車体メーカーと130社の最終顧客を対象に市場調査を実施しました。製品の種類を増やす事、リードタイムを短縮することが、市場シェアを維持するための鍵となることを顧客と確認しました。また、製品の信頼性、安全性、素早い開閉能力が、重要な顧客要求であるということに気づきました。

モジュラー製品アーキテクチャの開発を通じて、マーケティングチームと製品エンジニアリングチームは、新しい共同作業方法を開発しました。彼らは、顧客ニーズと、それに対応する技術的解決策(≒アッセンブリ)の関係性を明確化しました。また、重要な顧客価値と、それに関連するモジュールを明確化しました。これによって、モジュール開発のプライオリティが付けられるようになりました。

絶え間なく変化する市場要求に応え続けるため、モジュールバリアントを導入し続けることにしました。

新しいモジュールバリアントの開発時間は次のように設定されました。

  • 新しいモジュールまたは重要なモジュールバリアントの開発12〜18か月(プロトタイプとフィールドテストが必要)
  • 新製品への適合:6か月(プロトタイプ、フィールドテスト無しのモジュールバリアント)
  • お客様要求への適応:1か月(マイナーチェンジ)

Edscha Trailer Systemの設計部門では、長期的なモジュラーの観点に沿って動いています。 チームの生産・調達を見越した設計は卓越しており、コスト削減に貢献しています。 たとえ設計作業が少し複雑になったとしても、運用の効率化を可能にするインターフェースを開発および維持を行っています。

 

製品開発技術

製品の優先順位の明確化により、エンジニアリング及び設計チームは徐々に開発範囲を拡大できるようになりました。リソースと資金が限られていたということもあり、1プログラム内で全範囲のモジュールバリアントを開発することはできませんでした。彼らはまず、長い期間使用されるベースとなるアーキテクチャ開発に着手し、後に、製品間で共通に用いることができるモジュールバリアントを開発しました。そうすることで、新たなモジュールの導入に時間をかけることが出来ます。現に、チームがまだ新しいモジュールバリアントを開発している間に製品を発売することができました。

 

製造オペレーション 

サプライヤとの新規取引の必要性等は早期に予測することができるようになりました。また、部品点数削減により、1部品当たりの生産量増加やサプライヤ数や在庫、コストの削減に寄与しました。プロジェクト開始時にサプライヤと立てたコスト削減計画は、チームが予測していた値と非常に近しいモノでした。 結果的に、サプライヤ数は140から40にまで削減することができました。

このようなメリットは、小売業者にも広がっていきました。Edscha Trailer Systemからのリードタイムが短縮されたことによって、多くの業者が以前よりも少ない在庫で回せるようになりました。

 

 

モジュラーアーキテクチャの実践

Edscha Trailer Systemsのチームは、既存の製品バリエーションの数を維持し、さらには増やしながら部品の種類数を減らしていくために、スライディングルーフの主要なメカニカルシステムに注目しました。彼らは、ヒンジ、ローラー、レールを構成するインターフェースとモジュールを最適化しました。

以前は108のコンポーネントバリアントを使用していましたが、標準化されたインターフェースによって32のモジュールバリアントにまで削減されました。

 

 

39 Hinges Reduced to 4. 23 Rollers Reduced to 5.

44 Rails Reduced to 8

事例紹介

ワープールの
製品アーキテクチャ

ワープールの場合

製品アーキテクチャが戦略と結果を結びつける

Steve Paddock ワープール元製品開発担当副社長

会社概要 

ワープール・コーポレーションは様々な白物家電を取り扱う世界のリーディングメーカーであり、年間売上190億米ドル以上、従業員数6万8千人を抱え、世界中に65ものR&Dセンターを持っています。 ワープールは電化製品産業のリーダーですが、スウェーデンのエレクトロラックス、アメリカのGE Consumer & Industrial、韓国のLG エレクトロニクスなどの競合が存在しています。 提供製品ラインアップとしてはランドリールームにある洗濯機や乾燥機をはじめ、各部屋で用いるエアコンや浄水器、オーブン、食器洗浄機、電子レンジなどのキッチン製品まで多岐にわたります。 

ワープールが販売する電子レンジは、明確な戦略に基づいた多くのブランドを市場に展開しています。

しかし明確な戦略があるにもかかわらず、スウェーデンで開発・製造される同社のハイエンド電子レンジは低収益性、製品ラインアップの少なさ、エンドユーザーの自由度の低さ、容赦ない価格競争、製品モデルの短寿命、ブランド差別化の限界など様々な重要課題を抱えていました。これらの重要課題を解決しながら、新規市場開拓を可能にし、中国への生産拠点の移管をすることなく解決する手法として同社はモジュラー化支援プログラムをモジュラーマネジメント社に依頼しました。 その結果、製品ラインアップは大幅に増加し、小規模なバッチ生産で迅速なモデルチェンジを低コストで実現されました。 

この電子レンジ製品の成功を皮切りに、同社はレンジ台上面、オーブン、食器洗い機、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、乾燥機など20を超える製品ブランドのモジュラー化プログラムを実施しました。 

そしてブランド戦略による製品付加価値とマーケットシェア向上を牽引すると共に、コスト削減による大きな成果を達成しました。

  • 固有部品種類数を35%削減
  • 製品毎に保有部品を25%削減
  • 部品コストを20%削減
  • プラットフォームを40%削減
  • 直接材料費を10%削減

明快な因果関係の説明は困難ではありますが、コスト削減成果をも大きく上回るブランド価値向上など、定量化可能な市場への影響は顕著であると言えます。

 

詳細

このケースでは、スウェーデンのノルチェピングで2002年に設計・製造されたオーブンレンジ(MWOs)に焦点を当てています。 主要な事業はカウンタートップ式のオーブンレンジで、当時の特徴は以下の4つにまとめられます。

  • グローバルで大量生産が可能な製品 
  • ゼロまたはごく僅かなコンフィグレーションの、高度に標準化されたSKU
  • 直接的な低コスト競争のため、コスト感応度が極端に高い
  • モデルの寿命はわずか1,2年

ノルチェピングではコスト削減の試みが尽き、大量生産においては中国への生産移管だけが、グローバル市場における同社の競争力を保つための唯一残された選択肢と思われました。しかし、チームが探していた答えは違いました。同社は、スウェーデンの工場で製造を続けるためにはどうしたらいいのかという答えを探していました。 そして幅広い顧客を満足させ、かつ新しい技術とトレンドにすばやく対応できる、より多様でハイエンドな電子レンジを生産するという新たなビジネスアプローチで、これまでとは違う市場に焦点を当てることを決めました。

この目標を首尾よく達成するには、チームが多くの事業課題を乗り越える必要がありました。 中でも同社は生産を改良し、オーバーヘッドを減らし、迅速で市場に焦点を当てた製品開発組織へと変化する必要がありました。 

多種多様なブランドやモデルを効率的に開発・生産する方法を必要としていたノルチェピングの工場にとって、モジュラー製品アーキテクチャは、広いブランド幅や単一の効率的なプラットフォームのSKUを可能にするという明確な答えとなりました。 モジュラーマネジメント社はこのモジュラー戦略に助力しました。 このプロセスを通して、チームはモジュラー製品アーキテクチャを作成し、実行することで達成される、主要な課題やプログラム目標を特定しました。 そして以下のような事業目標を満たすために、Operaと名付けられたプログラムが実行されました。 

 

事業目標

以前の状態 (2002)  

モジュラーアーキテクチャ (2004+)  

市場戦略

チャネル要求に対応する製品  

最終顧客に対応する製品 

製品

ラインナップ

バリエーションが少なく、ブランドも殆ど無い 

バリエーションが10以上の複数のブランド  

全工場

アウトプット 

年間100万ユニット 

年間生産量を60%削減  

製造戦略

大量生産 

小規模生産 

在庫
戦略

完成品が在庫へ 

受注生産 

全年間コスト 

17000万米ドル 

アウトプットに比例して減少する 

平均ユニットコスト 

大量生産で最適化 

3%増に制限 

間接費比 

コストの20% 

より低い総コスト比率を維持する

事業目標に示される課題に加えて、組み込みオーブンレンジにはいくつかの新しい設計課題がありました。 中でも一番の課題は冷却でした。 カウンタートップ式のオーブンレンジは全方位から自由な空気の供給がありますが、組み込み式ではファンによる空気の循環が必要です。 

以前、従来のカウンタートップ式のオーブンレンジは、マイクロ波を利用しており、場合によっては、追加のグリルヒーターも使用していました。新たな組み込み式のオーブンレンジプラットフォームは、強制対流モードとクリスプモードという2種類の新しいクッキングモードを搭載する設計がなされました。また、チームはハイエンド電化製品市場の素早い要求の変化に対処するため、明確なブランド差別化や顧客多様性、計画された開発パスを提供するアプローチを開発する必要がありました 

柔軟な制御パネル

Operaプロジェクトは製品の外観、感触、操作面で幅広い種類のスタイルを組み込むという非常に明確な目標がありました。 そしてプラットフォームは、可能な限り少ない制約で、この幅広いバリエーション効率的に適合する必要がありました伝統的なオーブンレンジでは、ノブやボタンがプリント基板(PCB)の規定の位置に直接配置されています。初期設計でノブの場所が予期せぬ場所になった場合、完全に新しいプリント基板を作らなければなりませんでした。加えて、独自の各形状は一連の特定の穴がある独自のパネルが必要でした。 

これらのパネルごとに独自のツールが必要でした。 そのため、伝統的な設計は以下が要因で非常に自由度が制限されている状態でした。 

  • ノブ/ディスプレイの形状ごとに独自のパネルが必要である
  • ノブやボタン、ディスプレイは既定の位置にのみ配置可能で、場所を変更する場合は、新たなプリント基板を作製する必要がある

モジュラー製品アーキテクチャによって、この問題に様々なアプローチが可能になりました。第1に、パネルの表面は事前に定義されており、ノブを任意の場所に配置することができました。 これらの穴を作るにはツールは必要ありませんでしたが、滑らかなエッジを作り出すためにレーザーでドリル加工を施しました。 第2に、ボタンとノブをプリント基板に直接配置し、全てのボタン、ディスプレイ、ノブが、標準化されたインターフェース(コネクタ付きのケーブル)を介してプリント基板と通信できるようにしました。 そして全ての機械式ノブは、電子式ノブに置き換えました。 これにより寿命が向上し、既知の製品問題が解決されました。 さらに購買量が増加したため電子式ノブの価格は下がり、古い機械式ノブの価格に近づきました。

結果として、Operaチームは様々なスタイルのパネルを設計することが可能になりました。

モジュラーマネジメント社がいなければこの結果は得られなかったのは明らかです。 Operaのプラットフォーム所有者のMäkilä氏は述べています 。さらに、我々が開発時間を丸1年短縮して最初のOpera製品を予定よりも早く発売できたと確信しています。 モジュラー機能展開を用いることでOpera製品は並列エンジニアリングが可能な36個のモジュールに分割することが出来ました。述べています。

Operaチームは各モジュールの仕様を作成しました。 これらのモジュールの仕様は、モジュールやモジュールバリアントについての重要なデータを含んでいます。 モジュラーマネジメント社のキーコンサルタントは誰も自分の組立ラインを離れたり、インターフェースを壊したりしないように、毎週全設計エンジニアとともに品質保証会議を開きました 事実、彼の仕事はプロジェクトにおいて非常に重要なものだったのです。

プロジェクトの実際の間接費の削減は20%でした 今日のOperaはオーブンプラットフォームの「Minerva」と統合されており、これによりノルチェピング側は、ブランドと市場の識別とチャネルを所有するイタリアのメインオーブン側からのエンジニアリング変更要求に迅速に対応することができます。 

モジュラー化の考え方によって、かつてのものよりもはるかに迅速に変更要求に対する影響を予測することが可能になりました。 これにより、時間とエネルギーを節約できます。 旧来のモジュラーではない設計では、スタイリングや性能の変更を要求されると、全体の設計を見直す必要がありました。 現在では、どのモジュールに影響があるのか簡単に判断でき、以前よりも遥かに迅速に対応することができます。Mäkilä氏は述べています。 初期のコンフィグレータはモジュール間の不要な結合が存在する場所を示し、これは可能な限り設計を分断するのに役立ちます。

また、Mäkilä氏はこうも述べています。モジュール化のお陰でチームは以前よりも効率的に図面や部品表を作成することができるようになりました。

Mäkilä

ワープールが販売する電子レンジは明確な戦略に基づいた多くのブランドを市場に展開しています。

しかし明確な戦略があるにもかかわらず、スウェーデンで開発・製造される同社のハイエンド電子レンジは低収益性、製品ラインアップの少なさ、エンドユーザーの自由度の低さ、容赦ない価格競争、製品モデルの短寿命、ブランド差別化の限界など様々な重要課題を抱えていました。これらの重要課題を解決しながら、新規市場開拓を可能にし、中国への生産拠点の移管をすることなく解決する手法として、同社はモジュラー化支援プログラムをモジュラーマネジメント社に依頼しました。 その結果、製品ラインアップは大幅に増加し、小規模なバッチ生産で迅速なモデルチェンジを低コストで実現することが出来ました。 

この電子レンジ製品の成功を皮切りに、同社はレンジ台上面、オーブン、食器洗い機、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、乾燥機など20を超える製品ブランドのモジュラー化プログラムを実施しました。 

そしてブランド戦略による製品付加価値とマーケットシェア向上を牽引すると共に、コスト削減による大きな成果を達成しました。

  • 固有部品種類数を35%削減
  • 製品毎に保有部品を25%削減
  • 部品コストを20%削減
  • プラットフォームを40%削減
  • 直接材料費を10%削減

明快な因果関係の説明は困難ではありますが、コスト削減成果をも大きく上回るブランド価値向上など、定量化可能な市場への影響は顕著であると言えます。